特定可能な施設(施設名がはっきりと認識できる建物・有名なランドマーク・歴史的建造物・有名建築物など)の写真を商用利用しても大丈夫なのか・・・?権利問題でトラブルにならないか・・・?など、ご心配な方もいらっしゃるかと思います。そういった写真について、今回は安全に商用利用できるポイントについてご説明させていただきます!
公開されている建物の写真は、著作権法で利用が許されています。
有名な建物の写真であっても、建築の著作物については、原則として自由に撮影し、その写真を利用することは可能です。著作権法四十六条では、屋外の場所に恒常的に設置されている美術の著作物と、建築の著作物について、一〜四号の場合を除いて利用できるとされています。ですので、基本的にはほとんどの建物の写真が、利用できる対象と考えることができます。
著作権法第四十六条
美術の著作物でその原作品が前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
一 彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合
二 建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合
三 前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合
四 専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合
写真ACの利用規約でも、主要コンテンツとして製品化する行為は禁止していますが、四号の「専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合」は、頻繁に問題になることですので、特にご注意ください。
著作権の保護期間が経過していれば商用利用だって大丈夫!
上記の一〜四号の除外事項であっても、著作者が死亡して50年間が経過していれば、著作権の保護期間が経過していますので商用利用することだって問題ありません。
ただ、団体名義の著作物である場合など、公表後五十年を経過するまでの間が、著作権の保護期間となるなどの例外もありますので、著作権法で定められた下記の保護期間をご参照ください。なお、外国の著作物については、国によって著作権の保護期間が下記とは異なることがあり注意が必要です。
第四節 保護期間(保護期間の原則)
第五十一条 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。
2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。
(無名又は変名の著作物の保護期間)
第五十二条 無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年を経過するまでの間、存続する。ただし、その存続期間の満了前にその著作者の死後五十年を経過していると認められる無名又は変名の著作物の著作権は、その著作者の死後五十年を経過したと認められる時において、消滅したものとする。
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
一 変名の著作物における著作者の変名がその者のものとして周知のものであるとき。
二 前項の期間内に第七十五条第一項の実名の登録があつたとき。
三 著作者が前項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したとき。
(団体名義の著作物の保護期間)
第五十三条 法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年(その著作物がその創作後五十年以内に公表されなかつたときは、その創作後五十年)を経過するまでの間、存続する。
2 前項の規定は、法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作者である個人が同項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したときは、適用しない。
3 第十五条第二項の規定により法人その他の団体が著作者である著作物の著作権の存続期間に関しては、第一項の著作物に該当する著作物以外の著作物についても、当該団体が著作の名義を有するものとみなして同項の規定を適用する。
建物へのライティングがある場合は注意して!
建物の写真には問題がないとしても、建物へのライティングや、プロジェクションマッピングなどは、別の著作権があるとされることが多いため、自由に利用ができないことがあります。微妙に判断に困ることもあるかと思います。気になる場合は、被写体様の管理者へ事前に使用できるかをご確認ください。
出所を明示して利用しないといけないこともあります。
著作権法第四十六条では、原則として自由に利用できる建物の著作物でも、その出所(一般的には著作者名)を明示する慣行がある場合があります。建物の写真を見るだけでは判断できないため、写真素材の利用時に被写体の管理者様へ事前に確認することをオススメします。
第四十八条
次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
三 第三十二条の規定により著作物を複製以外の方法により利用する場合又は第三十五条、第三十六条第一項、第三十八条第一項、第四十一条若しくは第四十六条の規定により著作物を利用する場合において、その出所を明示する慣行があるとき。
いかがでしたでしょうか?ちょっと難しい問題ですが、ぜひ上記をチェックして正しくご利用くださいませ。